知り合いに霊感の強い女の人がいます。2人姉妹で、お姉さんは看護師をしています。
その日も、朝から病室の片づけをしていました。シーツの取り換えには特に気を配り、ピンッと張った真っ白なシーツを見るのが好きでした。
片づけを終え、詰所に戻ると婦長さんに呼ばれました。
「何なのこれ。シーツがグチャグチャじゃない、もっとキチンとできないの!」
ついさっきあれほど気をつけて端々までピンッと張ったはずのシーツが、まるでワザとのように皺が寄り、端が捲れ上がっています。
なぜこんな風になったのかはわかりませんでしたが、婦長さんの剣幕に「すいません…」と謝ることしかできませんでした。
その日から不思議なことが続きました。シーツだけでなく、準備していた注射器が全部床に転がっていたり、配ったはずの薬が消えてしまったり。
どんなに気をつけていても、有り得ないミスが起こります。自分はこの仕事に向いてないんだろうか、と思い詰める日々でした。
そんなある日、片づけを終え、外に出ようとした瞬間、突然人の気配を感じました。
そこには、見たこともない薄いピンク色のナース服を着た、若い女の看護師が立っていました。
その看護師は、綺麗に整えたばかりのシーツを両手でグチャグチャに掻き乱し、ゆっくりとこちらを見て、薄っすらと笑うとフッと消えてしまいました。
その夜、婦長さんに見た通りのことをありのまま話しました。
「そう…あの娘だったのね。あなたがここに来る何十年も前のことだけど、若くして亡くなった看護師がいたのよ。前から何人も姿を見たという噂が絶えなかったけど、あなたが見たというナース服は、あなたが生まれる前に使われていたものだからあなたが知っているはずないものね」
その話を聞いたお姉さんは病室に戻り、誰もいない部屋の中で手を合わせて祈りました。
あなたの分まで、必ず一生懸命患者さんのために尽くします。
その日を境に、不思議な出来事は起こらなくなりました。